トップ お知らせ一覧 その他 フリーランスへの発注を阻む壁は「スキル」と「人柄」の見極めの難しさ|”フリーランスへの発注時における、発注元が抱える課題”について独自調査を実施

フリーランスへの発注を阻む壁は「スキル」と「人柄」の見極めの難しさ|”フリーランスへの発注時における、発注元が抱える課題”について独自調査を実施

フリーランス人材の活用を推進する株式会社デイトラ(本社:東京都豊島区、代表取締役:大滝昇平、以下 デイトラ)は、このたびフリーランスへの発注における発注元側の課題を解消することを目的に、発注元を対象とした「外注時における課題に関する調査」を実施いたしました。

調査の背景

 2020年のコロナ禍を契機に、フリーランス人口は増加傾向にあり、2021年には1,577万人に達しました(参照:ランサーズ株式会社「フリーランス実態調査 2021-2022年版」)。フリーランス市場の拡大に伴い、ビジネスを行う上で、フリーランス人材の活用は必要不可欠なものとなっていくことが見込まれます。
 こうした中、2024年4月に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称、フリーランス新法)」が成立しました。この法律により、発注元側における、フリーランスとの契約プロセスが厳格化されます。この法律は、フリーランスの権利を保護し、不当な扱いを防ぐことを目的としていますが、同時に発注元には新たな責任と義務が生じることになります。
 具体的には、フリーランスとの契約締結前に、業務内容や報酬、納期などを明確に定めた書面の交付が義務付けられました。また、フリーランスから契約内容の変更や報酬の増額を求められた場合、発注元は誠実に対応しなければなりません。
 これらの規定により、発注元はフリーランスとの契約にあたり、より慎重な対応を迫られることとなりました。トラブルを避けるため、フリーランスへの発注に対してより慎重になってしまうことが予想されます。
 デイトラは「デジタルスキル教育を通して挑戦する人々の夢を叶える」をミッションとし、社会で活躍できる個人を育成するために、フリーランスの育成に取り組んでまいりました。このミッションを実現するためには、発注元とフリーランスのマッチングの活性化が必要不可欠であると考えます。
 そこで、デイトラでは、発注元とフリーランスのマッチングを円滑化するための方策の検討に活用すべく、フリーランスへの発注の障壁となる要因を特定するための調査を行いました。

調査結果

 デイトラでは2024年5月16日〜2024年5月21日に、発注元を対象としたアンケート調査を行いました。
■アンケート概要:
調査方法:インターネット上でのアンケート調査
対象:Web関係業務に従事し、フリーランスへの発注経験がある方
調査時期:2024年5月16日〜2024年5月21日
回答者数:363名
※本リリースの調査結果をご利用いただく際は、【デイトラ調べ】とご明記ください。

各設問における結果

■設問1)発注先を選ぶ際に重視するポイントは何ですか?

設問1)発注先を選ぶ際に重視するポイントは何ですか?に対する回答(複数回答)

 発注先選定において、回答者は「過去の制作物の数や質」(65.6%)や「実務年数」(53.4%)などのスキルを重視する傾向があることが窺えました。

■設問2)発注先はどのようなプラットフォームで探すことが多いですか?

設問2)発注先はどのようなプラットフォームで探すことが多いですか?に対する回答(複数回答)

 発注先を探すプラットフォームとして「知人の紹介」と回答した方が全体の35%、次いで「クラウドワークス」(25.3%)、「自社に届く営業メール(電話)の中から探す」(24.2%)が続きました。
 また、回答者は平均して2~3つ程の複数のプラットフォームを利用していることが明らかになりました。

■設問3)なぜそのプラットフォームで発注先を探すことが多いのか教えて下さい。

設問3)なぜそのプラットフォームで発注先を探すことが多いのか教えて下さい。に対する回答(複数回答)

 発注先を上記のプラットフォームで探す理由として「信頼できるから」と回答した方は全体の41.3%、「使いやすいから」が29.2%、「発注先のスキル感がわかりやすいから」が27.3%と続きました。

■設問4)発注先を見つけることに課題を感じたことはありますか?

設問4)発注先を見つけることに課題を感じたことはありますか?に対する回答

 回答者の7割が、発注先を探す際に課題を感じていることがわかりました。

■設問5)「ある」と回答した方に伺います。どのような課題ですか?

設問5)「ある」と回答した方に伺います。どのような課題ですか?に対する回答(複数回答)

 さらに「課題がある」と回答した方のうち、「求められる業務を遂行するスキルや経験を十分に備えているのかわからない」と回答した方が47.7%と最も多く、「発注先が信頼できる人柄なのか判断ができない」が44.1%と2番目に多い結果となりました。

■設問6)今まで、発注先との間でトラブルになった事はありますか?

設問6)今まで、発注先との間でトラブルになった事はありますか?に対する回答

実際に、発注先とのトラブルになったことがある回答者は、全体の41.3%であることがわかりました。

■設問7)今まで、発注先との間でトラブルになった事はありますか?

■設問7)今まで、発注先との間でトラブルになった事はありますか?に対する回答(複数回答)

 トラブルの内容としては「納品物の品質が要求水準を満たしていなかった」が44%と最も多く、次いで「発注先の態度や言動が不適切で、円滑なコミュニケーションができなかった」が38%という結果になりました。

調査結果:まとめ

 この調査より以下の結果が得られました。

  • 発注先選定において、発注元は「過去の制作物の数や質」(65.6%)や「実務年数」(53.4%)などのスキルを重視している。
  • 発注先を探すプラットフォームは複数利用されており、「知人の紹介」(35%)、「クラウドワークス」(25.3%)、「自社に届く営業メール・電話」(24.2%)が上位を占める。
  • プラットフォーム利用の主な理由は、「信頼できるから」(41.3%)、「使いやすいから」(29.2%)、「発注先のスキル感がわかりやすいから」(27.3%)である。
  • 回答者の7割が発注先探しに課題を感じており、主な課題は、「求められる業務を遂行するスキルや経験を十分に備えているのかわからないこと」(47.7%)と「発注先が信頼できる人柄なのか判断ができないこと」(44.1%)である。
  • 発注元は、発注先の「スキル」を重視する一方で、現行のプラットフォームでは、「スキル」や「経験が十分であるか」を判断することが難しいという課題を抱えている。
  • 41.3%の発注元が発注先とのトラブルを経験しており、主なトラブルは「納品物の品質が要求水準を満たしていなかったこと」(44%)と「発注先の態度や言動が不適切で、円滑なコミュニケーションができなかったこと」(38%)である。

調査結果から浮かび上がる課題

 本調査の結果、発注元は、フリーランスへの発注時に、「過去の制作物の数や質」(65.6%)や「実務年数」(53.4%)など、スキルの担保となる要素を重視していることがわかりました。実際に、多くのプラットフォームでは自身のポートフォリオや経歴をプロフィールに記載することを推奨しています。
 しかし、それでも41.3%の発注元が発注先とのトラブルを経験しています。最も多いトラブルは「納品物の品質が要求水準を満たしていなかったこと」(44%)と、事前に開示された情報だけでは求めるスキルを満たしているのか判断しきれなかったことがうかがえます。また、「発注先の態度や言動が不適切で、円滑なコミュニケーションができなかったこと」(38%)が次に多いことから、専門技能だけでなく、円滑に仕事を進めるためのコミュニケーション能力も重視されていることがわかります。
 発注先は円滑な仕事の進行のため、フリーランスに専門技能とコミュニケーション能力を求めています。けれど、事前に開示されるプロフィールや簡単なやり取りではそれらの能力を推し量ることが難しく、ミスマッチによるトラブルに繋がっています。こうした課題感は、回答者の7割が発注先探しに課題を感じており、その理由に「求められる業務を遂行するスキルや経験を十分に備えているのかわからないこと」(47.7%)「発注先が信頼できる人柄なのか判断ができないこと」(44.1%)を挙げているという調査結果にも現れています。
 近年のフリーランス人口の増加、フリーランス新法をはじめとした諸制度の整備などを背景に、ビジネスにおけるフリーランス活用は今後ますます盛んになることが予想されます。しかし、発注元は発注先選定において、ミスマッチが起きない人材の選定に課題を感じています。フリーランスにとって、自らの能力や人柄を担保することがこれからより重要になると思われます。

今後の取り組み

 デイトラでは今回の調査結果を受け、フリーランスのスキルや人柄をより可視化できるような仕組みづくりを進めてまいります。フリーランスに発注したいと考えている企業や個人が、より安心してフリーランスへの発注を行うことができる環境を提供し、マッチングの促進を目指します。デイトラは今後も、個人が活躍できる社会の実現に向けて尽力します。